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下記は、旧NECエレクトロニクス社が所管していた製品または情報に関するページです。
NECエレクトロニクスはこのたび、今後の微細トランジスタを用いたLSIで深刻な問題となることが予測されるランダム・テレグラフ・ノイズ(RTN = Random Telegraph Noise)について、その詳しい挙動を分析するための新たな手法を開発しました。
RTN(注1)とはトラップ(注1)に一個の電荷が出入りすることでトランジスタの特性が時間とともに不連続に変動する現象であり、将来これがLSIの誤動作を引き起こす可能性が指摘されております。信頼性の高いLSIを製造するためには、この現象を正確に理解し、設計手法に反映させる必要があります。このためには、RTN現象を引き起こす原因となる、個性を持った個々のトラップの挙動を統計的に詳細に調べることが必要となります。しかし多くの場合、一個のトランジスタには複数のトラップが共存するため、個々のトラップの特性を分離して把握することが難しいという課題がありました。今回開発した解析手法を用いると、RTNの統計的挙動を表現する特徴量である「トラップ数期待値」と「変動幅期待値」とを容易に決定することが可能となり、これらを用いることで誤動作を起こさない高信頼なLSIの設計パラメータの抽出が可能となります。
このたび開発したRTNの分析手法は以下のとおりです。
トランジスタが微細になるほど、一個の電荷が出入りすることによるトランジスタ特性の変動が大きくなることから、今後RTN現象がLSIの信頼性に及ぼす影響が増大していきます。この問題に対処するには、RTNの統計的挙動を正しく理解し、それがLSIの信頼性を劣化させないよう適切な設計を実施することが不可欠です。そこでNECエレクトロニクスでは、RTNによる特性変動を統計的にモデル化する理論を構築しており、本年6月のVLSIテクノロジー・シンポジウムにおいて発表いたしました。このモデルにおいて鍵となる特徴量が「トラップ数期待値」と「変動幅期待値」です。
RTNによって電圧や電流が時間とともに変動しますが、もしトラップの数が2以上になると、一般に波形が複雑化してトラップの個数を検出することが困難になります。時間差プロットは、このような波形を2次元の平面上に射影することで、トラップの個数を輝点の集中によって識別できるようにする技術です。本手法を用いることで、個々のトランジスタにおいてRTNを引き起こすトラップの個数を容易に知ることができます。トラップの個数を多数のトランジスタについて調べることで「個数期待値」を求めることができます。
RTN統計モデルによると、ノイズ波形の最大振幅の統計的分布と「個数期待値」を知れば、「振幅期待値」を逆算することが可能となります。波形の最大振幅は、単にノイズ波形をある程度長い時間に亘って測定するだけで容易に求まります。そこで多数のトランジスタについて最大振幅を測定してその確率分布を決定し、これと「個数期待値」を用いれば「振幅期待値」が容易に決定できます。
以上の手法を用いて微細トランジスタのRTNを詳細に評価しました。その結果「個数期待値」がトランジスタのゲートにかける電圧によって変化するという現象を見出しました。つまり、電圧を変えるとあたかもトラップが消滅したり生成したりするように見える、ということです。その原因を調査したところ、電荷の出入りの早さ(時定数)が電圧によって変化し、測定の条件との兼ね合いであるトラップが見えたり見えなかったりすることが原因であることを突き止めました。この結果は、測定にかからない見えないトラップの存在を明確にしており、このような見えないトラップの適切な考慮が、将来の超微細トランジスタにおいて高信頼設計を行なうために非常に重要であることを明らかにしました。
今回開発した手法を応用すると、このようなRTNの挙動を詳細に分析することが可能となり、これにより得られた情報を高信頼な回路設計の実現のために活用していきます。NECエレクトロニクスでは今後も高性能かつ高品質な製品を提供し続けるため、本手法も用いつつRTN現象に関する研究・開発を積極的に展開していく予定です。
なお、当社は今回の成果を、本年12月7日から9日まで、米国ボルチモアで開催された「国際電子デバイス会議(IEDM 2009:International Electron Devices Meeting)」にて、9日に発表しました。
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