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下記は、旧NECエレクトロニクス社が所管していた製品または情報に関するページです。

高い閾値制御性を有するシリコン(Si)基板上の窒化ガリウム(GaN)パワートランジスタを開発


2009年12月8日
日本電気株式会社
NECエレクトロニクス株式会社

NECとNECエレクトロニクスはこのたび、電源オフ時に電流が流れないという、家電製品やIT機器等の安全動作に必要な特性(ノーマリオフ特性(注1))の制御性を向上した、シリコン(Si)基板上の窒化物半導体(注2)パワートランジスタを開発しました。このトランジスタは、ゲート電極の下の層を新構造とすることにより、電流が遮断される閾値電圧の制御性を向上し、低電力損失、高速スイッチング、高温動作を実現します。
 
シリコン半導体を用いたパワートランジスタは、電力の変換、制御素子として家電製品から産業機器に亘り幅広く用いられ、機器の省エネ化を進める上で重要な役割を占めています。現在のシリコン半導体トランジスタに比べ、窒化物半導体トランジスタは、低損失、高速、高温動作が可能という優れた特性を有しており将来を期待されていますが、実用化にはノーマリオフ特性のばらつきを抑え、制御性を向上させることが必要です。
しかしながら、チャネル層付近において、電子供給層とチャネル層からなる現在の2層構造では、ゲート電極とチャネル層間の電子供給層の厚さにより閾値電圧が大きく変化するため、ノーマリオフ特性の安定のためには、製造にあたりゲート直下の窒化物半導体のみを、ヘテロ接合(注3)界面付近まで数nmの高い精度でエッチング加工することが求められ、実用化への課題の一つとなっていました。
このたび開発したトランジスタは、閾値電圧の電子供給層への厚さ依存性を低減するため、電子供給層中に電荷の中和層を挿入するとともに、チャネル層のさらに下層に、中和層と同じ組成のバッファ層を加えた5層構造とすることにより、閾値を高精度で制御し、ノーマリオフ特性を安定して実現すると同時に、加工性を改善し低コストで低損失な窒化物半導体パワートランジスタを均一に作製することを可能としたものです。

このたび開発した、シリコン基板上の窒化物半導体パワートランジスタの特長は、以下の通りです。


  • (1)安定したノーマリオフ特性を実現
    ゲート下層に、分極電荷中和構造(注4)を形成。閾値に対するゲート直下のAlGaN層の厚さによる依存性を大幅に緩和。これにより、電力損失の原因となるオン抵抗を低く維持したまま、様々な機器の安全動作に必要なノーマリオフ特性の制御性を大幅に向上。
  • (2)低損失化・低コスト化を実現
    シリコンの10倍の電界破壊強度による高耐圧と、約3倍の電子移動度による高速性を有するワイドギャップ窒化物(GaN)半導体を採用。オン抵抗(注5)を従来のシリコン素子の材料限界値の1/20まで低減。これにより、DC-DCコンバータなどの電力変換機器では、試算上、約70%の電力損失低減が可能。また、窒化物半導体を大口径化が可能なシリコン基板上に作製することによって、低コスト化も実現。

NECとNECエレクトロニクスでは今後も、窒化物半導体パワートランジスタの設計・評価を行い、実用化に向けて研究・開発を加速していく計画です。

なお、NECでは本成果を、12月7日より米国ボルチモア市で開催された学会「IEEE国際電子デバイス会議(International Electron Devices Meeting:IEDM)」において、7日に発表しました。


以 上

ノーマリオフ特性:トランジスタに電圧を印加しない時、電流が遮断される特性。機器の安全動作のため必要。
窒化物半導体:窒化ガリウム(GaN)/窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)で構成された3.4eV以上の大きなバンドギャップをもつ半導体。高い破壊電界強度や高い電子移動度を持ち、高温・高耐圧・高出力素子として有望な材料。大きなバンドギャップを利用した青色LED材料としても広く用いられている。
ヘテロ接合:異種の半導体の接合。AlGaN/GaN半導体ヘテロ接合界面では、GaN単層中よりも電子の移動度が高いため、オン抵抗の低減に有利な構造。
分極電荷中和構造:ゲートの下層とチャネル層の下層のそれぞれに同一組成の窒化物半導体層を挿入することによって、各層が発生する正と負の分極電荷が打消される構造。ゲートの下層の厚さに閾値が依存しなくなり、閾値制御性が向上する。
オン抵抗:パワー半導体素子がオン状態のときの抵抗成分。オン抵抗と電流の2乗の積が電力損失となるため、低いほうが好ましい。


ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。




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